April 14, 2005

弁護士倫理?

えーっと、やる気しないでほったらかしにしてました。すみません。
っていうか、まぁこのブログは適当に気が向いた時に更新していく、というスタンスなので超不定期更新です。
でも週に一回くらいは更新したほうがいいよね。。。

さて、昨日通知が来たのですがMRPE(倫理試験)受かってました。まぁ、80パーセント以上が受かる試験なので受かったからどうってことはないのですが、まぁ落ちると落ちるで8月に再受験しなくっていけなくってそれはそれでめんどくさいので結構うれしい。

そういう訳で、MRPE合格を記念して、再びアメリカの弁護士倫理の問題です。

Q、アメリカの弁護士が例えばクライアントに送るつもりだった戦略メモ等の書面を間違って相手方弁護士に送ってしまった場合、その相手方弁護士は弁護士倫理上どういう措置をとる必要があるか?

A、書面が間違って届いたことを送信先に連絡する義務がある。ただし破棄する義務とか当該書面を読んではいけない、という義務はない。

えーーっとなんでこういう質問を唐突にするか、というと、私もついこの間やってしまったんですねー、はは。授業の一環でジョイントベンチャーの契約条件について二当事者に分かれて交渉する、というのがあったのですが、私がつくった詳細な交渉戦略メモ(妥協できる限界や最初のブラフ等も書いたもの)を自分と同じサイドの弁護士に
送ったつもりで相手方の弁護士役にもメールで送ってしまったのでした(汗)。その後その同僚の弁護士に指摘され、あわてて「ごめん、その書面は見ないでーー」と頼んだのですが、頼みを聞いてくれたのかどうかは謎のままです。まぁ、最終的には交渉のほうはつつがなく、適宜これくらいだったらいいかな、というところで妥結できたので良かったのですが。。。

これが本番の仕事でなくって良かった、というかんじです。みなさんも気をつけましょうね。ってそんなことするの私だけ?

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March 17, 2005

敵対的買収に対する日米の意識の違いの有無

 日本に帰ってきてそれで久しぶりに日経新聞を読んだのですが(っていうか後で聞くと別にアメリカでも読めるらしいですね、事務所の上司に「えっ、読んでないの?」と驚かれてしまった。。。)、たまに読むと面白いものです。

 日曜日の朝刊にライブドアの保全処分の決定に関連して、敵対的買収についてどう思うかということや、会社は誰のものと思うか、、、みたいなアンケートみたいなのがあったのですが(ウェブでは載っていなかったようです、必要であれば紙版を見てみて下さい。)、超簡単に結論を要約して述べると、会社の取締役等の意見としては、敵対的買収は場合によっては怠慢な経営者に対する抑制手段となる場合もあるものの多くの場合は会社の価値を破壊することが多く基本的には友好的買収でいくべき、会社の所有者は第一次的には株主であるが、第二義的には社員や債権者、地域社会、といった人たちも会社の所有者であると考える、というようなまとめでした。これに対して、外資系ファンド等からのアンケートでは、怠慢な経営者に対する抑制手段としての敵対的買収をより肯定的にとらえていたのと、会社の所有者はあくまで株主である、という原則をより重視していました。

 それを見て思ったのが、よくアメリカはすすんでいて日本は遅れている、みたいな話をする人が多いのですが、別に日本でもアメリカでも人々が敵対的買収に対して考えていること、って実はそんなに変わらないんじゃない?というものです。アメリカでもmanagerとかはと敵対的買収に対して極めて反対していますし、ファンドや年金基金等の投資家は敵対的買収の効用をより強く主張しています(というふうに私は思っている。)。日本でも、取締役は敵対的買収により反対し、投資家(まぁ、外資系ファンド、という人たちを投資家代表にするのもあれかもしれませんが。。。どういう人にアンケートしたのかまではちゃんとは見ていませんし)は敵対的買収の効用をより重視している、というのは一緒なんだなー、と。日本人だけがM&Aとか敵対的買収の世界を理解していないように言われるが、かならずしも、そうではないんんじゃないの?と。他にも、日本の政治家も「敵対的買収がおこるのは戦後教育が悪いからだ!」(by森)みたいなステキな発言をされたりしていましたが、別に政治家がこういう発言をするのも日本だけではありませんし。。。ただ、ワイドショーとかはアメリカでも日本でも見ないので世間の人の敵対的買収に対するイメージみたいなことについてはなんとも言えませんけど、それもあまり大差ないのではないか、と想像はしています。

 まぁ、以上のようにあまり差はないんだなぁ、と思っただけで、それ以上に深みのある話ではまったくないのですが、少しなるほどねー、と思った日本訪問でした(笑)。

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アメリカの女性と日本の女性の違い?(雑談)

 春休みで日本に帰っています。
 しばらく書き込みしていなかったので、たまには軽めの雑談でも。
 秘密にしていたのですが、どうも事務所の同僚弁護士が何人かこれを読んでいることがわかり、かつ「あれって○○(私の本名)が書いているんでしょ?難しいことばっかり書いているし、長いし、良くわかんないよー。」などと言われたものですから(^^;;(今後、気をつけます)。

--以下、本文--
 日本に帰ってきて一つ思ったのは、やはり「日本の女の子は気立てがよくってかわいい!」ということです(笑)。

 大学の日本人の同級生(オトコ)が以前言っていてなるほどねぇ、と思ったのが、「いずれの文化圏においても、少なくとも男性か女性かのいずれかに対し、男らしさや女らしさ、というものを求めている。そうでないかぎり結婚等の制度がなりたたず、社会的には望ましくない。この観点から見た場合、アメリカでは男性に対して男らしさ、マッチョ、レディーファースト等の行動を非常に求めるのに対し、女性に対しては女性らしい行動、というものを求めることは非常に少ない。これに対して、日本では(徐々に減ってきてはいるものの)女性らしさ、気配り、やさしさ、等を非常に求めるのに大して、男性に対しては特段にそれほど男性らしさを求めることはない。したがって日本女性はアメリカでもてるが日本男性はもてない。逆にアメリカ男性は素敵なやつが多いが、アメリカ女性は、うーーーん、というのが多い。もし、世界が日本人男性とアメリカ人女性だけであれば世界はほろびるであろう。。。(笑)」ということです。(注:この話は、あくまでこれまでの歴史や文化がどうか、という話であり、個人の生き方としてどうか、という問題や、ジェンダーフリー運動についてどう考えるか、等の問題は些少しています。)

 また、バレンタインデーのときに、アメリカ人の友達(オトコ・彼女が日本人)が言っていたのですが、「アメリカではバレンタインデーは男が女にプレゼントをあげて、ディナーにつれていく日である。アメリカでは女性が男性にプレゼントする日、なんてものはありえない。なぜならアメリカ人女性はselfishだからだ(笑)。」というものです

 実際にアメリカ人女性(まぁ、ロースクールなので特殊な世界なのかもしれませんが)を見ていると普段はほとんど男性と差がない、というか、授業にジャージみたいなかっこを着てきて、授業中にご飯を平気で食べ、男性と互角に議論をし、、、というかんじであり、それが望ましいか望ましくないか、ということは全くさておき、日本人女性とはやはり違うなぁ、、と。。。

 アメリカ留学中とかいうと日本人の女の子に、「アメリカ人は美人が多いんでしょ」「ブロンドの女の子口説きました?」みたいによく聞かれるので(笑)、そのたびに「いやいや、日本人の女の子のほうがかわいいよーー」と答えることにしているのですが(^^;、まぁ、その理由は上のような理由によるものなのです。まぁ、そんな「わたしは日本人の女の子がすきだーーー!!!」みたいなことをこのブログで独り言のように書いていてもまーーーったく仕方がないのですが。。。(^^:

 あっ、ただレディーファーストとか女性が重い荷物持っているときに助ける、、、とかは日本でもしたほうがいいですね。みなさんも励行しましょう!

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March 08, 2005

東証株式分割自粛要請の理論的根拠?

 東証による株式分割自粛要請が3月7日に出ました。
 この自粛要請は、「ライブドア等が株式分割を武器にして株価を上げ、それを利用してM&Aをしてきたのはけしからん!」という一部政治家の声に答えてできてきたものであると理解しています。例えば、日経の記事は自粛要請の一つの理由として「大幅な株式分割で株価が一時的に急上昇、これを買収や資金調達に有利に活用したとみられかねない例も目立つ」と記載しています。
 その意味で、この自粛要請は、ライブドア事件に対する急激な反応の一環として位置付けることができるでしょう。(著名事件が立法等に与える影響について、awake in a muddleさんの「著名事件は悪法を作る?」および47thさんの「TOBルール「強化」の証取法改正案ねぇ・・・」をご参照。株式分割の効果等について参考になるかもしれないHPについて末尾参照。)

 さて、ここで東証の自粛要請を読んでいて面白いなぁ、と思った点が何点かありました。まず、この自粛要請の理由として東証は「最近では、極めて大幅な株式分割が実施され、それに伴う新株券の交付までの間に一時的かつ大幅な需給の不均衡が生じ株価の急激な変動を招く事例が見受けられます。また、こうした株式分割によって株式投資単位が著しく低下した場合には、過度に投機的な売買を招くおそれも懸念されます。」という理由をあげてういることです。私は「株式分割を武器にして株価を上げ、それを利用してM&Aをしてきたのはけしからん!」という議論についても、東証による「新株券の交付までの間に一時的かつ大幅な需給の不均衡が生じ株価の急激な変動を招く事例が見受けられます。」という理由にも「こうした株式分割によって株式投資単位が著しく低下した場合には、過度に投機的な売買を招くおそれも懸念されます。」という理由にも、株式分割の自粛要請をする理由としてはいかがなものか、というふうに考えています。

 まず、そもそも自粛要請を考える前提として、株式分割の効果について考えておく必要があると思います。「株式分割を武器にして株価を上げ、それを利用してM&Aをしてきたのはけしからん!」という主張はなりたつのでしょうか。

 よく言われる点ですが、株式分割は株価に対してあくまでニュートラルであることが原則である筈です。株式というのは会社に対する割合的に分割された地位を表すものにすぎません。例えば単純に考えて、100億円の価値のある会社が1万株発行していた場合、1株の価値は100万円になります。この株式が100株に分割された場合、1株の価値は、あくまで100億円の価値のある会社に対する100万分の1の価値にすぎませんから、1万円になる筈です。もともと1株100万円の株式を1株もっていたAさんが、株式分割を受けても、1株1万円の株式を100株持つだけであり、なんら影響はありません。
 それでは株式分割の際に、よく株価があがる、っていうけどどうしてなの?現に多くの会社の株価があがっているじゃん、という疑問が生じるところです。
その理由として考えられるのは、

1、投資単位の引き下げによって流動性が増す。(1株100万円だったら手が出ないけど、1株1万円だったら手が出せるよ、という投資家が増える。)
2、株式分割後も一株あたりの配当が維持されたような場合には、当該配当に応じて株価が上がる。(例えばもともと100万円あたり毎年1万円配当していた会社が、会社分割後1万円あたり500円配当にする、と発表した場合には配当は5倍になります。ただ、本当はこの配当はもともと会社の財産から来ているものであり、もともと株主の把握していた財産なのであるから、配当の増加についても株価に中立的であるべきはずではないか、等の理屈もあるのですが、その議論はとりあえず無視します。)
3、株式分割自体に大きな意味がある訳ではなく、株式分割後に当該会社がM&A等のなんらかのアクションをとることを予定ないしアナウンスしており、当該アクションが株価にとってプラスの影響を及ぼすアクションである。
といった説明が可能だと思われます。
あと私自身は下記の理由はとらないのですが、
4、 株式分割後、実際に株式が交付されるまでの間に50日程度のタイムラグがあるので、その間需給関係が変化する。(需要過多になる。)
という説明も可能でしょう。
 このうち私は4の理由は本当なの、と思っています。需給関係の変化、というが、50日たてば100倍分の株式が出てくるのが確定的に判っているのに、それが株価にどの程度の影響を及ぼすのか、という気がいたします。
 ただ、現実に大幅な株式分割後に株価が乱高下しているのではないか、その理由は何か、と聞かれたら(私自身は乱高下しているかどうかについて調査した訳ではなく、新聞等の記事によるとそういう主張がなされています。)、その間は、市場における株式の流通量が大幅に減るので、なんらかの投機的な思惑を持った人や相場操縦の目的のある人がいる場合に、短期的には市場がその役割を果たさなくなる(理論的にいうとefficient market theoryが当てはまるような市場ではなくなる)という理屈は当てはまるかもしれません。

 いずれにせよ、株式分割の効果として一時的に株価が乱高下することが仮にあったとしても、それはあくまで一時的な効果(最大限需給関係がもとのままに戻る50日間)にすぎません。この一時的影響をふせぐためには、あくまでそのような一時的な需給関係の変化がおきないようにする手段をこうずるべきであり、東証の「新株券の交付までの間に一時的かつ大幅な需給の不均衡が生じ株価の急激な変動を招く事例が見受けられます。」という理由は自粛要請の理由にはならないように思います。(実際3月9日付の日経の記事によると、株式分割後即座に売却再開できるようにする、というようであり、そうだとするとこの乱高下の問題はなくなる気がいたしますが。。。)

 次に、株式分割を武器にして(長期的に)株価を上げ、それを利用してM&A等をすることがけしからんか、ということについて述べると、先に述べた通り、株式分割は原則としては株価にニュートラルな影響しか与えない筈であり、もちろん上記1および2記載のような影響が長期的に起こる可能性はありますが、その影響はそれほど大きくない筈であり、また、その影響が(虚偽情報等によるものでなければ)なんら不当なものとも思われません。実際、東証はこれまでは流動性向上のために株式分割をするように積極的に指導してきた(自粛要請のアナウンス参照)という経緯すらあります。また、上記3の理由、M&A等をすることをアナウンスすることによる効果についても、当該M&Aのアナウンスによって株価が上昇するとすれば当該M&Aが当該会社にとって価値を創造する行為であるというように株主から思われているという証拠であり(虚偽情報等によるものでなければ)これが悪いというのはまったく理由がないと考えています。

 さらに、東証のもう一つの理由である、「こうした株式分割によって株式投資単位が著しく低下した場合には、過度に投機的な売買を招くおそれも懸念されます。」という理由についてもよく判りません。東証の自粛要請では一株1万円以下になるような分割はできるだけしないでね、と言っているのですが、例えば一株1万円だったら投資できないけど、一株5000円だったら投資できるよーー、というような小規模な投資家がいくらいようが株価には全く影響ないと思いますが。。。(ってそもそもそんな投資家がいるのでしょうか?)。もっと大規模に資金を動かせる投資家については、当該投資家が動かせる金額は、株式投資単位が大きかろうが小さかろうが、変わらないはずですから、一株あたりの価値が500円だろうが、1万円だろうが、100万円だろうが、ほとんど関係ない筈です。東証の自粛要請が、仮にそもそも個人投資家が入ってくるような株式市場は望ましくないから、一株1億円未満にはするな、という要請であれば、(主張の当否はともかく)当該主張を達成するための手段としてはありうる手段だとは思いますが。。。

 で、長々と書いてきたのですが、ここでもう一点着目すべきは、東証はあくまで「株式分割禁止」といっている訳ではなく、あんまりやらないでね、でも、やる場合には開示をしてね、と言っていることです。(「仮にそのような株式分割を行う必要がある場合には、(1)当該分割の目的、(2)当該分割後の配当方針、(3)目標とする株主の増加数など当該分割比率決定の根拠及び(4)当該分割により見込まれる株主管理コストの増加が収益に及ぼす影響等を投資者に対して詳細に開示するようお願い申し上げます。」)。この記載からすると、この自粛要請にもかかわらず、開示さえあれば大幅な株式分割もかまわないように記載しているように見えます(もちろん、裏の意味として、事実上大幅分割を禁止するような意味が包まれいないかどうかは判りませんが。。。)。そうだとすれば、結局は東証としては、株式分割の自粛を要請するような理論上の根拠も実務的な必要性も全く考えていないが、政治家がうるさいのでとりあえず形だけの要請を出してみた、ということなのかもしれません。。。
 ただ、それならそれでいいのですが、この要請によって今後株式分割をした人が批判されるようになったり、実際に株式分割ができる場合が限定されるようなことがあったりすると、それこそ、著名事件は悪法をつくる、という例の一つの事例ができるように思えてなりません。(あと、CB発行後6ヶ月間の自粛の点についての無意味さと悪影響についても書いたほうがいいのかもしれませんが)

株式分割の効果等について参考になるかもしれないHP
http://manabow.com/why/0406_1.html
http://www.dka.co.jp/pdf/souba.pdf
http://www16.ocn.ne.jp/~ystrade/gyoukai.html

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March 07, 2005

MRPE(弁護士倫理試験)

 アメリカにはMPREという弁護士倫理試験があり、これに受からないと、司法試験に受かっていても弁護士としての実務をすることはできません。(詳しいことは、BarBriのサイトとか、日本語だと、ちょっと古めだけどこのサイトとか参照。)

 この試験を今週末に受けないといけないのですが、BarBriという有名な司法試験予備校のビデオ講義に行ってきました。これは、本番の司法試験のためのコースの予約申し込みをしている人はただで受けられるよ、というものです。

 その倫理ルールの説明の中で何点か面白い話があったので、備忘として書いておきます。文章で書いてもあまり面白くないかもしれませんが。。。
 まず、最初はちょっとシモですみませんが、弁護士倫理にはクライアントと性的関係を持ってもいいか、という規定があります。。。このルールですが、結論としては、クライアントになる前から性的関係を持っていた相手とは性的関係を継続してもいいが、そうでない場合には性的関係を持ってはいけない、というものです(^^;;。どうもアメリカでは弁護士がクライアントとできてしまったという例や、逆に弁護士の恋人や愛人が弁護士のクライアントになった、という案件が多いようであり(それだけ弁護士の数が多いせいもあると思いますが)、例えば、20歳年上のお金持ちの女性と愛人関係にあった弁護士がその女性の遺言(弁護士に全財産を残す)を、自分自身でドラフトした場合、当該遺言は有効であるか、また同じ事務所の弁護士がドラフトした場合だとどうか、全く関係ない弁護士によるドラフトでも当該弁護士の影響があるとみられるような場合があるか、等のケースが山のようにあり、そのような事情が倫理ルールにも影響しているのかもしれません。(さらにお下品ですみませんが、他から得た話では、そのようなルールをハンバーガールールというらしく、これは「パンを得るところで、肉を得てはいけない」という趣旨だということです。。。(^^;;。)
 
 次に、例えばクライアントから電話代がないから25セント貸してくれ、と言われたら貸していいか、また、通常の場合ではなく、例えば目の前でクライアントの息子がサメに襲われており夫に電話するために25セント貸してくれというようなような非常に緊急な場合だとどうか、というルールです(いや、私の作った話ではなく、本当に講師がそういう例を出して説明するんですよ。。。)。これは結論として禁止されています。クライアントに対してお金を貸してはいけない、それにはいくら以下であれば良いという例外がないから、という理由になります。それで実際にはどうするか、というと、実際にはそういう場合には貸すのではなくあげてしまえば問題ない、ということです。(ちなみに日本ではルール上は特に問題ない筈です。例えば留置中の被疑者からお金が全くないから貸してくれ、と言われ、やむなく弁護士が貸した例等は多いように聞いています。保釈金の保証人になって、被疑者に逃げられてしまったような例も確かありましたね。。。)
 アメリカではどうも弁護士倫理が非常に細かく決まっているようであり、それもかなりプラグマティックな形で「これこれは駄目」というように決まっているようであり、やはり弁護士先進国ですな、と思った次第です。それがいいことなのか、日本のようにまだまだのんびりしたかんじのほうがいいのかは別の問題ですが。

なお、他に思ったこととして、
・BarBriの雰囲気は日本の司法試験予備校に非常に似ている。
・アメリカ人の講師は(まぁその人だけかもしれないのだけど)自信たっぷりで、話がわかり易い。(イメージとしては伊藤真のイメージ。。。なんて言っても判る人にしか判らないが。)

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March 03, 2005

信託法の授業

コメントをもらって嬉しかったのとたまには書いてみよう、ということで、小記事。
 私は今、ロースクールでTrust & Estatesの授業を取っています。この授業は、「信託及び財産法」であり私がやっている金融系の話に役にたつと思って取ったら、「信託及び遺産法」であり、延々と遺言の有効性とかそういう話が続く、というなかなか、人生、って思ったとおりにならないよなー、という授業なのですが(^^;;(いやっ、本当は取るときにはある程度わかっていたんですよね。)、ゲイのカップルがパートナーに対して財産を残す遺言が陪審によって「不当な影響下における遺言であり無効」とされた例であるとか、アメリカにおける(特に田舎の州における)裁判所の差別的な判決の例等も判って、それはそれで勉強になる、というかんじの授業なのです。
 それはさておき、今日ケースブックを読んでいて面白かった事例としては、自分の可愛がっているペットを受益者にする信託が許されるか、という事例でした。まぁ、結論的には受益者は受託者に対してなんらかの監督等ができる者でなくてはならない等の理由により許されないのですが、日本法ではどうなんだろう、とか(まぁ、これも無理なんでしょうけどね。)、日本法上で、実質的にペットを世話するための信託を設定するためにはどうすればいいのであろうか、とか、まぁ、そういうことを考えると、それはそれで面白いかなぁ、と。いや、あんまり面白くないかもしれませんけどね。。。

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March 02, 2005

村上ファンド発言について

47thさんの記事に対するコメントを書こうとしたら長くなってしまったので自分のブログに載せます。
このコメントの前にもコメントを書いているので、それについては元記事ご参照。

それに対しては、とりあえず、ライツ・プランの採用を禁止する旨の提案については、少なくともデラウェアは取締役の専権を侵害するもので、法的に取締役を拘束するものではなく、理論的には、いつでもライツ・プランを採用できるという、まるっきりリプトンの受け売りの点を指摘しておきますが(笑) でも、今回のエントリーの主眼は、アメリカでも展開されて決着のつかない実務家vs学者のライツ・プラン論争というよりも、「一要素」に過ぎないものや、「一事例」に過ぎないものをとり出して、海外(典型的にはアメリカだと思いますけど)の方がいいとか、投資家は逃げるとかいうのが、すごくチープな脅しみたいでいやだなぁ、というあたりです。 何か議論が少しすりかわってしまうかも知れないことを承知で、わかりやすさをとって例をあげてみると、ピープルソフトがオラクルの買収に抵抗したときに、その対応を批判する人が、「これが認められたら米国の会社に投資する人はいなくなる」(から、認めるべきじゃない)というコメントをするのと同じことだと思うんですけど・・・合理的な区別をつけるとしたら、アメリカ人はアメリカを愛しているので海外に逃げるなんて考えられないし、別に海外の投資家に来てもらわなくても平気だから、そのあたりが日本とは違うということになるんですかねぇ?・・・うーーん

まぁ、ライツプラン(ポイズンピル、と言うべきかしら(笑))のデラウェア州の点については勿論そのとおりです。ただ、私は日本法的な見方からすると、株主が決めた点なのに、取締役の専権侵害だ、といって無効とするのは変だよなーとはいつも思っているのですが、アメリカ人的にはありなのでしょう。

 あと、私も海外の投資家が逃げる、というのは大げさだとは思いますが(全員は当然逃げないでしょう、一部はいなくなるかもしれないですが)、もし47thさんのあげた例について述べるとすると、まず当該国に関する国内投資家と海外投資家にわける必要があるでしょう。アメリカの年金基金等は色々な状況から考えてアメリカ国内に大部分を投資せざるをえないので(これは日本の投資家がなんだかんだいって日本に投資しているのと同じ。為替リスクとか、情報がどれだけあるか、とか、ベンチマークが何なのか、とか色々な理由だと思いますが)、アメリカから逃げる、ということは考えにくいでしょう。通説的見解(?)からの理解からすると、カリフォルニア州公務員年金基金等は、運用資金があまりに巨額なためにどの運用先からも逃げられないので、運用先全体のコーポレートガバナンスの確保(全体のリターンアップ)に力を入れている、という説明がなされていると思います。これはまぁ日本でも日本国内投資家が日本から逃げるリスクは低いとは思いますけど。
 海外投資家はアメリカの場合は世界中の投資家は何があろうとアメリカに投資せざるをえない訳で、そこは極東の小マーケットにすぎない日本市場とは異なると思います(日本人としては言っていて悔しいのですが。)。そのアメリカでさえ、(これは投資ではなくマーケットへの上場の話なので多少(かなり?)違うのですが)例えばサーベンスオクスリー法の外国法人への適用をすると海外企業の上場が減る、という批判を(一応は)気にしたり、アメリカの手間隙かかるパブリックオファリング規制が、ヨーロッパ企業によるアメリカでのボンド発行を阻害している、という批判を(一応は)気にしていると思います。
 その意味で私のほうでも極端な例かもしれませんが、例をあげると、中国の会社法作成の際には、例えばこういう規定が入っていないと海外投資家が入ってこないよ、という脅しが実際に海外(特にアメリカ)のローファームからかなりなされたと聞いています。かなり古い例のようですが会社法にfiduciary duty規定がなかったのを海外からの批判により入れさせたり、また、新しい例では、94年に制定された新会社法に対して海外ローファームから様々な痛烈な批判がなされたことにより、様々な新ルールができたり、という例を聞いています。会社法でない例ですと、デリバティブのネッティング条項の有効性等も海外からの圧力によって確定された(確定されつつある?)例だと思います。
 それで何を言いたいかというと、世界で日本がおかれた地位はどちらかといえばアメリカというよりもこの中国の例に近い、というか、むしろ現在発展中であって世界中の投資家が注目している中国であればそのように海外からの批判によって改正がすすむ、という例もあるかもしれませんが、日本であれば完全に無視されて逃げられるだけではないか、というおそれすらもあるので(なんか書いていて嫌になってきましたが(笑)。)、何か法改正をする際ですとか、今回のような敵対的買収の防衛手段を考える際には海外投資家がどう思うか、というのはやはり気にする必要があるのではないかと思うのです。

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February 13, 2005

ライブドアMSCBは実は悪くない?

 世間ではライブドアのMSCBの条件について色々と議論がなされており、磯崎氏のblogに極めて詳しい説明があるのですが、個人的にはライブドアのMSCBの条件はむしろそれほどひどい条件ではない、という説明が可能なのではないかと考えています。
(磯崎さん、始めてトラックバックさせて頂きます。いつも勉強させて頂いております。)

以下、私の考え方を説明します。ただ、私は超文系人間で、株等も全くやらない人間なので、基本的な考え方に間違いがあるかもしれず、自分のblogでこんなことを書くのは結構恥ずかしいのですが。。。

毎週ごとの転換権の修正
毎週ごとに転換価格が修正される点ですが、オプションセオリーとしては、価格が決まった後にその価格で長期間転換権を行使できるほうがオプション価格は高くなる訳です。例えば、極端な例として、毎日、転換価格が「その時点の時価」に変わるMSCBを考えると、オプション価格はほぼゼロな訳です。もちろん、今回の場合は10パーセント分の鞘がありますが、これは株価が上がろうと下がろうと10パーセントで変わらないので、やはり転換期間が短ければ短いほど、オプション価格が低い点には変わりはない筈です。
そうだとすると、(i)転換期間が極めて短く、かつ、(ii)上方修正条項があり、かつ(iii)その上方に上限がないMSCBの場合には(公告を見る限りライブドアのMSCBには上限はない筈です)、あくまでその目的は、株式の機動的な時価発行ができる、という点にあると言えるのではないかと思います。(毎日ではなく、一週間ごと、かつ3日間の状況を見ているのは、事務手間等の問題だと思います。)

売り崩しについて
 よく問題となる売り崩しについても、(もちろん証券会社なので相場操縦は禁止されている、という点を除いても)、転換権が短期間で修正されるほうが、相場操縦のメリットはなくなってくる筈です。仮に転換権決定期間の3日間に売り崩しを行っても、その低くなった価格で転換できる期間は次の一週間しかない訳です。この一週間の間に、800億円分のMSCBを転換したとした場合、その転換後の普通株式が販売できなければ、その普通株式を一定期間保有しつづけなければならない、というリスクを負うことになる訳です。この保有リスクを避けるためには、何度も何度も相場操縦を行わなければならない訳ですが、相場操縦の数が増えれば、当然にその発覚リスクも高くなる訳ですから、(上方修正条項があれば)転換価格の変更が頻繁に行われるほうが、相場操縦のインセンティブは減少するものと思われます。

下限価格について
 株価下落と希薄化のスパイラルの点ですが、それは本当なのか、というような気がいたします。まず、仮に時価が下がっている場合には、それは株式の需要が少ない、ということですから、LB社としては転換をする意味が減ってきます。転換後新株を誰も買ってくれないのであればずっと自分で保有しなければならないリスクがありますし、株式よりも社債のほうが法律上返済の優先順位が高いので、ライブドアの経済状態が悪化した場合には、むしろ社債のまま保有しつづけるインセンティブがあるように思います。
また、私は株式価格の算定方式についてまったく詳しくないのですが、コーポレートファイナンスの一番基礎的な理論的には、仮にその時点の時価が、当該企業の客観的な価値を正確に反映していることを前提とするならば、企業が新株の時価発行を行ったとしても、その希薄化によって、株価に与える影響はない筈・・・、と思います(本当に時価が正しいのか、とか、社債と株式とでタックスの関係で何か違いがあるか、とか、色々とある筈ですが、それを捨象すれば)。そして、これは時価よりも10パーセント低い発行価額だとしても、それほど大きくは変わらないのではないかと思います。

 例えば、極めて単純化して、会社の資産価値(現在有する資産と将来の収益のNPV)が400円、MSCBを100円、他の負債を100円、株式を10株発行している会社があるとします。この株式の理論的な価値としては(株主は株主有限責任の関係からオプションを有しているのと同じだ、という価値を無視し、かつMSCBの転換の可能性を無視すれば、って無視しすぎかもしれませんが(笑))、
     (400円(資産価値) – 100円(MSCB) - 100円(他の負債) / 10株(株式数) = 20円(株価)
となります。
 仮に、この時点でMSCBが全額株式に転換されたとすれば、
     100円(MSCB額面) / (20円(株価) * 0.9 (転換価額) = 5.55株(取得可能株式)
になります。
 その結果、会社の株式の価値は、
     (300円(資産価値) –100円(他の負債) / 15.55株(株式数) = 19.29円(株価)
になる筈です。MSCBの転換によって、3.5パーセントほど価値の減少がなされていますが、これは、転換価格の10パーセントのディスカウントがあったことによるものです。
仮にこの会社の資産価値が、300円に悪化した場合、MSCBが転換されずに残っているとすると、
     (300円(資産価値) – 100円(MSCB) - 100円(他の負債) / 10株(株式数) = 10円(株価)
となります。株価は前の半分になった、という極めて状況が悪化した場合です。
 この時点でMSCBが全額株式に転換されたとすれば、
     100円(MSCB額面) / (10円(株価) * 0.9 (転換価額) = 11.11株(取得可能株式)
になります。
 その結果、会社の株式の価値は、
     (200円(資産価値) –100円(他の負債) / 21.11株(株式数) = 9.473円(株価)
になる筈であり、MSCBの転換によって、株価が5.2パーセントほど減少します。株価が20円のときの状況よりも、株価減少の割合は確かに増加していますが(これは10パーセント分の割引発行がなされており、その割引発行された株式の株式数全体に占める割合が高くなるためです。)、それほど大きな割合ではない、ということも可能だと思います。

 これらはあくまで極めて単純化した理屈であり、この理論的にも、本当は転換がされる可能性とかを考えながら、株価が形成される筈ですし、また、現実にはこんな理屈で株価は形成されていないよ、というふうにも考えられます。ただ、私が言いたいのは、時価発行による新株発行かつその手取金がきちんと使用される場合には株式価値の希釈化は起きない、という前提の場合には、MSCBの発行の場合に起きる株式価値の希釈化は限定的ですし、いや、そもそも株式数が増えれば株価は下がるのだ、という前提であれば、MSCBの発行の場合にも株式価値は下がりますが、それはMSCBが悪いのではなく、それは、株価が安い時(実際の価値よりも安いとき、というべきでしょうかね。私は基本的にはefficient market theoryの信奉者なので、あまりこの考え方はとっていないのですが)に新株を発行することはすべからくけしからん、という理屈につながるような気がします。

結論
 以上のように考えると、ライブドアのMSCBは、一見ひどそうに見えますが、よくよく考えてみると実はきちんと考えられたMSCBで、これは、スタジオジブリ風にいうと、「腐海の奥地は実は清浄の地であった」みたいなものなのかも、、、というふうに思うのです(笑)。

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貸株と担保目的

ライブドアの貸し株について47thさんの記事にコメントをしようとしたら長くなって入りきらなかったのでトラックバックさせて頂きます。私の考えは貸株の目的はいろいろとあるのでしょうが、一つの理由は単純に担保目的かもしれないね、という考え方です。(ぴんとがずれているかもしれませんが。)
 まず、diwaseさんによるファンダメンタルズ分析の話が出ていますが、私はファンダメンタルズ分析についてはあまり理解していないのですが(私は基本的にはefficient market theoryの信奉者ですので)、仮にファンダメンタルズ分析によって株価が下がる、と認識可能なのであれば、LB社以外でも株式さえ調達可能であれば空売りは可能な訳であり、LB社のみが有利な立場か、というと必ずしもそうではないような気がします。あとファンダメンタルズ低下がもしあるとすればMSCB発行のせいではなく、仮にこれが新株発行でもおこりうることになりますね。また、仮にLB社の予想外れた時には、LB社はショートによって大損する、、、と思ったのですが、よく考えると、MSCBによる買いオプションでヘッジできていますね、うーん。その意味ではやはり有利ですね。ただ、毎週転換価格の変更がなされるので、MSCBによるヘッジ効果は限定的であり、リスクヘッジをしながらショートによって巨額の利益をあげるのは困難なような気もします。もちろん一度にどん、と下がるような情報がある場合とか、相場操縦をした場合は別ですが。。。と考えると、貸株によってそれほど大きな利益があげられるか、というと少し疑問です。

 そうだとすると、貸株のメリットですが、47thさんがここと一つ前の記事で説明している点以外に、確か磯崎さんの昔の記事に、MSCBの一つの目的として、投資家が機動的に株を買いたいときにすぐに販売できる、というのがあったと思いますが、貸し株があることによってそれもよりすぐにできる、ということがあるのでしょう(この説明も磯崎さんが47thさんの記事のどこかにあったと思いますが、ちょっとみあたりません。すみません。)

 他に私が思いつくのは担保目的ですね。ぴんとがずれているかもしれませんが。LB社は無担保で800億円貸しており、転換オプションが付されていますが、この転換価格には下限が付されている訳です(あまりに価格が下がった場合にはライブドアとしては新株発行したくないのでしょう。)。これではライブドアの信用状態が悪化し、かつ株価がかなり下落した場合のリスクをLB社としては十分に削減できていない訳です。この分を、堀江社長から貸株、という形で担保にとれば、LB社のリスクの削減ができる訳です(他に担保にできるような資産はライブドアにも堀江社長にもあまりないでしょうし。)。なお、民法上の担保設定をCBにすることについては担信法上の問題が出ますが、貸株であれば、その問題は原則的には出ないはずです。(ちなみにデリバティブの場合に国債等を担保にとる場合、この場合は担信法の問題はない訳ですが、securities lending方式と、担保方式があり、法律上・税務上・実務上、どちらが有利であって、どちらが一般的だったかは忘れましたが、同じような発想です。)
 なんか書いているうちにこの説明が正しい気がしてきました。しかし、そうだとすると、堀江社長、リスクとってますねー。

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February 12, 2005

米国クラスアクション制度について

私のブログは47thさんのブログにコメントするためにつくられたブログなので(笑)、とりあえず47thさんの記事中のクラスアクション制度改正の点について、アメリカでクラスアクション制度についてメリットと考えられている点について基本を書いておきたいと思います。このような話は、47thさんは当然理解された上で書かれているのだろう、とは思うのですが、まぁ、他の方々の参考になるかもしれませんし、47thさんが書く手間が省けるでしょうし。。。ちなみに私は法案は読んでいません(^^;。

ブッシュ政権2期目の目玉の一つだったクラス・アクションの制限立法が上院を通過したようです。今後下院での審議に移りますが、そのインパクトについても、ちょっと考えてみないといけません。 内容としても、複数州にまたがるクラス・アクションを連邦裁判所に移送できるというのが目玉だとは聞いていますが、細かい内容はまだ勉強していません。ただ、独禁法のように連邦レベルとは別に州レベルで間接購買者の損害賠償請求も認めるというような場合に、依然として州単位で訴訟が継続するということになれば、制定法根拠のものについては、意味が乏しくなるような気もします。

アメリカでは多くの学者・実務家の間でクラスアクション制度は(悪い点もあるものの)必須の制度である、と考えられているように思われます。これは、日本人がアメリカって陪審制度でひどい評決ばっかり出ているけどなんで陪審制度なんてとっているんだろう、と思いがちなのに対し、アメリカ人の多くが陪審制度が当然の基本的な制度である、と考えているのと同様だと思います。(例えば、「裁判所等で会談したアメリカの裁判官、検察官、弁護士の全員が、陪審制度の意義と現状について、肯定的に評価し、一人または一握りの裁判官による判断よりも六人または一二人の「同輩」の判断の方が信頼できると述べていたことは、印象的でした。」といった記述等参照。)(ただ、自由法曹団、というのは基本的に人権派系の団体で陪審制推進派の筈なのでバイアスがかかっているように思われます。日本の最高裁の立場はまたことなるようです。ただ、最高裁もまたバイアスがある(裁判官の職域に素人が入ってくるのは嫌だ)、という点に注意する必要があります。いずれにせよ、アメリカで陪審制が基本的な制度であると考えられているのはそうなんだろうな、と思います。)

その理由ですが、「消費者等の小額の損害の権利の救済手段」という側面と、「義務違反の抑止手段」という二つの側面があると思われます。

前者のほうは基本的に簡単な話なのですが、例え「こういう権利があるよ」といっても「権利を実現する手段」がなければ、その権利は絵に書いた餅に過ぎません。例えば消費者がPL事件で損害をこうむっても、弁護士費用を考えると損害賠償請求が事実上できない、でもみんなで集まれば訴訟できるよね、だから、権利の救済手段として必要だよ、という話です。

後者のほうは、多少複雑になるのですが、「こういう義務があるよ」といっても、その「義務を強制する手段」がなければ、その義務を守る人は居なくなるよ、という話です。
例えば、仮に「インサイダー取引やTOB手続きの違反を行ってはいけない」という規制があった場合における、その義務を強制する手段を考えると、刑事罰、SECによる差し止めや行政処分、民事訴訟、といったような手段が考えられる訳です。しかしながら、、刑事罰やSECによる差し止め・行政処分は、行政組織に大きなコストがかかること、必ずしも全ての違反を発見できる訳ではなく、むしろ明らかに問題のあるようなケースや社会的に大きな問題となったようなケースを中心としてのみ発動されており、義務の抑制力としてはそれほど効果的ではない、と考えられます。民事訴訟による抑止力についても、仮に義務違反の結果、個々の私人がこうむる損害が小額であれば、やはり弁護士費用を考えると損害賠償請求が事実上できない、でもみんなで集まれば訴訟できるよね、その結果、十分な抑止力が達成できる、という考え方です。(47thさんのこの記事のクラスアクションの例も参照 )。この考え方は、証券取引法違反のみならず、PL訴訟、談合等の独禁法違反、その他様々な違反にあてはまります。

これはアメリカ人の証券取引法の教授(企業法務中心の弁護士)の意見ですが(もちろん私はその意見が正しいのかどうかは知りません。日本人としてはちょっとな、とも思いますが)、「カナダ、日本、ヨーロッパ等、様々な国が現在、米国証券取引法(サーベンス・オクスリー法を含む。)を真似しつつあるが、アメリカ証券取引法の真髄はクラスアクション制度にあり、クラスアクション制度を採用しない上でそれ以外の米国証取法を真似してもほとんど意味がない」ということです。

で、長々と書いていて何が言いたいか、というと、アメリカにおいてクラスアクション制度を弱めるような法改正については、(企業サイドの賛成は当然ありうるでしょうが)、権利救済手段を制限される消費者団体サイドからも極めて大きな反対があるでしょうし、様々な分野の学者さんからも理論的な立場からの反対が強いでしょうから、基本的にはそのような改正は非常に困難な訳であり、そのような背景事情を知った上で法案を読むときっと面白いのではないか、でも読むのはめんどくさいから私はきっとしないだろうなー、だから内容を教えて下さい、ということです(笑)。

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